僕が知る由も無いことなのだけど、だからこれは、後でトレルやムーメ、メイ様達から聞いたお話だ。
 ちょうど末姫様が、幽閉された北の塔で、一人、強く拳を握っていた頃だった。お城の、大きな大きな会議室で、お城に居た末姫様のお姉様達や、大臣や、それから王妃殿下が集まっていた。


 朝議を終えてからまだそう時間も過ぎていないのに呼び出された数名の大臣や、王城に居た姫君達――リトゥリー、メイの他に、フィーナの誕生日を祝う為に遠方から立ち寄っていた四の姫・ラウトゥールもそこには集められ、空席のままになっている国王の席を不安げに眺めていた。
 彼らが聞かされたのは、王が突然、倒れたということのみである。
「陛下が倒れられたと言うのは本当ですか、妃殿下」
 大臣の一人に問われたのは、空席の国王の隣に座る王妃、シューフィア・シェールヴだった。
 少しばかり皺の見え始めた目を鋭く周囲へと配り、ひとつ溜息をつく。
「…その様子では、皆、既に聞き知っているようですね」
「では本当なのですね?」
 さすがに、事前に既に聞いていたことといえ、王妃に肯定されるとその場は少しばかりざわついた。王の身を案じるのは勿論だが、これからどうなるのかという不安を見せて、ざわめきはなかなか落ち着かない。
 そんな中で王妃は静かに、言葉を続けた。
「原因については、詳しくは申しません。…ただ、フィーナ・フィーディス…わたくし達の末の姫が関与していることは確かなようです」
 一度は静まり始めたざわめきは、この言葉にとうとう動揺を孕んで爆発した。一人の大臣が信じられない、という顔をして首を振り、一人が声を上げる。
「ではフィーナ姫は、陛下に害を為そうとしたということですか!それは…」
「大逆ではありますまいか」
 鋭く問い掛けられた言葉に、場がしんと静まり返った。それを口にした当人以外の全員が、訳のわからないことを聞いたと言うように、一様にぽかんとして静止してしまったのだ。
 王国の末の姫、フィーナ・フィーディスは、奔放、天真爛漫、お転婆、と、やや姫様らしからぬ点はあったものの、親しみやすい人柄を大臣たちも姫様達もよく知っていた。活発で、少しばかり正直すぎる欠点はあるものの、逆に言うと嘘のつけない少女だ。
 その彼女が大逆、という大それた言葉と、結びつかなかったとしても無理からぬことである。
「…大逆、などと、そんな大それたことでは御座いません」
 最も立ち直りの早かったのは、さすがに王妃だった。彼女は首を振り、苦笑めいたものを口に浮かべて、困惑した様子で眉を下げた。
「ターフ大臣、あの子は素直で、父であり王である陛下をとても尊敬しています。仇なす理由などあろうはずもありませんでしょう?」
「しかし、先程の妃殿下のお言葉では…」
「そうですね、そう取られても無理のないことでしょう」
 王妃はそう頷いて、どう説明したものか、と唇を一度引き結んだ。
 シューフィア・シュールヴは、元は商家の娘である。貴族に産まれた姫君達とは違い、金勘定は勿論、交渉もお手の物であった。どちらかと言えば人の好いところのある国王をよく補佐してきた女性である。
 計算高い部分のある彼女はどうしても、「国王が倒れたのは呪詛によるものである」という事実を隠しておきたい、と考えていた。
 大臣達を信頼していない訳ではない。だが、この事実が大臣達からもしも貴族の間に、果ては国民に広がってしまったら。
 この百年で王国が廃してきた、「魔族への差別」が再燃してしまうのではないか。
 それが彼女の抱く懸念であった。
 百年を掛けたとはいえ、矢張り、魔族に対して差別意識を持つ人は決して少なくない。特に貴族の間ではそうだ。建前では、魔族も人も同じ存在である、という立場を取っていても、内心ではそれを快く思わぬ者も多い。実際、三の姫・メイが産まれた時にも、魔族である彼女を幽閉すべきではないか、或いは、殺してしまうべきだ、という過激な意見を――口にはしないまでも――遠まわしに伝えてくる者も少なくなかった。
 こうした意見が力を得てしまうことを、彼女は恐れていた。出来ることならば、この事実は本当に伝えておくべき人物――すなわち、家族である姫達にのみ、伝えるべきだと彼女は考えたのだ。
「…フィーナが関与している、と言ったのは、彼女自身の意図したものではありません。恐らくフィーナは何者かに利用されたのだろうと推測されます」
「なるほど」
 一人が頷き、こう付け加えた。
「フィーナ様は、少しばかり素直すぎるところがありますからな」
「ええ。それが長所だと思っていたのですが、こういうことならば、少しは人を疑うことを教えておくべきでしたわね」
 王妃はその言葉に内心で安堵しながら、そう述べた。これで少しは、この言い訳が説得力を持ってくれれば良いのだが。
 大臣達がその言葉でどの程度納得したものかは分らない。だが、彼等はそれぞれに頷いて、王妃に理解を示して見せた。それを見渡し、一先ずは安堵しながら、王妃はゆっくりと口を開く。
「わたくしは、フィーナをエングース領の神殿へ送ることを考えています」
 神殿。
 その場の大臣達の顔は一様に、無難な判断だと考えていたようだった。中にはフィーナと親しい大臣も居て、彼は一人、神殿の生活がいかにあの奔放で活発な姫君にとって窮屈であるかを想い、少々可哀想な気もしていたが、王に仇なしたとなれば、下手をすれば死罪だ。一時的に神殿へ預けられる程度ならば、まだ軽い処分だと言えよう。
「フィーナ様に、出家を命じるということでしょうか、妃殿下?」
「いいえ、一時的に神殿に勤めることを命じるだけです。…まだ、今回の件に関しては分らぬことが多すぎます。そうですね、メイ?」
 それまで俯き、静かにその場に座っていた三の姫が恭しく口を開いた。
「ええ。フィーナに…フィーナを利用しようとしたのが何者なのか。正体も、それどころか目的すら分らない状態です。全てが裁きの女神の御前に明らかになるまで、安易にフィーナを処分するようなことは、しない方が良いだろうと、わたくしはそう判断します、母上」
「リトゥリー、ラウトゥール、あなた達もよろしくて?」
 問われた二人の姫も同様に、母の判断を支持するように頷いた。特に、裁きの女神を信奉する立場のリトゥリーは、冤罪があってはならないから、と言い添えた。フィーナを叱ってばかりいる彼女だが、実の所、末の姫を彼女も可愛がっていたのだ。
 ラウトゥールにしてもそれは同じだ。
 歳の離れた末の姫を、彼女達姉妹は本当に愛していた。
「皆は?わたくしの判断を、支持して頂けるかしら?」
 大臣は、数名が迷ったようだったが、まず真っ先に、農業を担う大臣が賛同した。それに騎士団を預かる軍団長が頷き、他に三名が賛同の声をあげる。大臣の総数は八名であったから、五名が賛同した時点で、過半数の賛同を得たことになる。
「では、これで、フィーナの処分については決定が為されましたね」
 王妃はそう告げて、緊急の会議の終わりを宣言した。




 議会の終了後、王妃は密かに姫君達を自分のお気に入りの場所へと呼び寄せた。
 王宮は、他国のそれと比べれば小規模ではあるが、様々な施設がある。客として集まった貴族達に提供する客室は勿論だし、食堂も幾つもあり、図書室や、ちょっとした運動の出来る遊技場などもあり、王宮内専用の神殿。そして畑や鶏小屋もあることは、あまり知られていない。
 王妃のお気に入りは、王宮の裏手、畑を見渡す位置にある小部屋であった。
 使用人たちが利用していると言われても納得できる、本当に簡素な部屋だ。壁紙も安っぽいし、窓のカーテンは明らかに手製のものと分る不器用な刺繍があった。テーブルも椅子も、装飾などとは無縁な、武骨な木製で、座ると軋んだ音をたてる。
 だがよく見れば、至るところに、書きかけの帳簿、各国の情報を記した本、議会からの報告書が散らばっている。
 そこは、王妃が密かに「執務室」と呼んでいる場所だった。彼女は普段から、王に頼まれた書類の整理などを、この部屋で行っているのだ。
「あーあ、堅苦しい口調って疲れちゃうわ」
 その部屋に姫君達を招きいれ、鍵をかけるなりの開口一番が、この発言だった。姫君達は慣れたもので、驚いた様子は無い。
 一人、リトゥリーが苦笑交じりに母に提言した。
「かあさま。フィーナはあなたに似たんだと、個人的には思うんだが。」
「あらそうかしら。あの子は若い頃のパパそっくりよぉ?」
 熱烈に口説かれちゃってねウフフ、などと惚気話を始めた王妃の表情が一気に曇る。それまで張り詰めていた気持ちが、娘たちを前に緩み、更に夫との思い出など口にしてしまったのが良くなかったようだ。彼女はメイを見つめ、涙こそ見せないものの、哀しげに、
「…パパの治療の目処は立ちそう、メイ?」
 メイは、ぐっと咽喉に答えを詰まらせたようだった。彼女は気休めを言えるような性格ではなかったのだ。
 答えは無くとも、しかし、王妃にはそれで充分、伝わったようだった。彼女は無言で首を横に振ると、メイの手をしっかりと握り締めた。
「私には、魔法のことは分らないから。貴女に任せるわ、メイ。お願いね」
「ええ、かあさま…」
 ラウトゥールが、遠慮がちに後ろから付け加えた。
「私も、出来る限りのことはしてみる。夫が何か知ってるかもしれないもの」
 ラウトゥールは、少々変わった相手に嫁いでいる。彼女が「夫」と呼ぶのは、実は――王国の中でも奥まった森でひっそりと暮らしている種族、獣人族だ。
 獣の特性と人間の知性を兼ね備える彼等は、身体能力に優れ、時には人と敵対することもあるが、概ね、肉体労働者や、或いは優秀な戦士として、あちらこちらの国で暮らしている。
 王国の中には小さいが伝統のある、獣人族の集落があり、ラウトゥールはこの集落と王国との交渉に出向いた所で、ワーウルフ――狼の特性を備えた、獣人族の中でも極めて武勇に優れる一種族――の青年と熱烈な恋に落ちた。
 王族と他種族の結婚など、基本的には、許されないことだ。だが、一大ロマンスを経て王妃と結婚したパパ、国王は大変に娘達の恋愛に寛容であった。結婚を申し出た青年の人柄に惚れ込んだこともあり、更に言えば、彼女が獣人族と王国との交渉を実にうまく進めてくれた、という、少々現実的な要因も幸いした。
 かくして、ラウトゥールは、人の、それも王女の身分でありながら、現在は森の奥、獣人族の集落で生活している。
 ちなみに、さすがにこの一件は大変な騒ぎを起こすだろう事が予想された為、ラウトゥールは表向きは、遠方の神殿へ出家したことにされている。
「ラウのご主人は、魔法に詳しいの?」
 メイが、興味を示した様子で問うと、元々大人しい性格のラウトゥールは恥ずかしそうに頷いた。
「ヒースは、狼だから魔法には縁遠いけれど。ヒースの叔父様が、梟の獣人族の方と親しいの。…あら?梟だから、獣人じゃあなくて鳥人と呼んだ方がいいのかしら…?」
「ラウ。頼むから本題から逸れないでくれ」
 リトゥリーが呆れたように、関係ないことを考え込み始めた妹をたしなめた。
「あらいやだ。リト姉様ってば急かさないで頂戴。…どこまでお話したのだったかしら」
「梟の獣人族の知人が居る、というところまで聞いた」
「そうそう、そうだったわ。その梟の方はねぇ、とっても古い記録を沢山、大切にしていらして。その中にね、ちょっと変わった魔法のお話があるの。メイ姉様、『概念精霊』ってご存知?」
 メイの顔色が変わった。表情に乏しい彼女が、瞳を輝かせたのだ。
「…一度、その梟のお方と話をした方が良さそうね。クアートも、その言葉を気にかけていたわ。」
「ねぇ、あなたたち」
 姉妹の会話に、母が少々むっとしたように割り込んだ。
「そのこと、今度のパパやフィーナのことと、関係あるの?無いのなら後回しにしましょうよ」
 それもそうねぇ、とラウトゥールが頷いたが、メイは首を横に振った。彼女にしては珍しい、熱っぽい動作だった。
「とんでもない、かあさま!これは…ラウ、意外なところから、事態が進展するかもしれないわ。『概念精霊』の魔法について、その梟の方はご存知なのね?」
「ええ、そうみたい…それに、『概念精霊』を特別に扱える一族って言うのが居て、その人達のことも梟の方、よくご存知みたいだったわ。確か、『レガスの一族』って、梟の方は呼んでたわね…」
「本当に?」
 メイの表情がいよいよ輝いた。
「かあさま。お父様やフィーナにかけられた呪詛は『概念精霊』によるものなの。その梟の方に話を聞けば、呪詛を解くきっかけが見つかるかもしれないわ…!それに、『レガス』!」
 彼女は少し興奮気味に、ラウトゥールの肩を抱く。
 メイは魔族として、魔法使いとして、王宮に仕える魔法の研究者だ。父や妹を助けることは勿論だが、研究者としての部分も疼いたらしい。
「『レガスの一族』は、伝説上の魔法を扱う術を持っているって聞くわ。もしかしたら、本当に、どうにか出来るかも知れない!」
「本当?」
 王妃がそのメイの様子に、嬉しそうに手を叩いた。
「本当なら素晴らしいことだわ、メイ!」
 事態を解決する為の糸口が見えたのだ。リトゥリーも僅かに微笑んだ。彼女も、事態が動く様子に安堵したのだ。
「これで、方針が決まったな。それじゃあ後は、このことをフィーナにも伝えて…」
 ところが、である。
 王妃の隠れ家である「執務室」に、突然激しいノックの音が響いた。ぎょっとして顔を見合わせる姉妹と母の耳に、若い女性の声が届く。
「大変よっ、大変よおかーさま、おねーさま達!」
「…おや、あの声は、クリスタ?」
「まぁ、クリスちゃんってばいつの間に帰ってきたのかしら」
 おっとりと首を傾げて、ラウトゥールが扉を開けると、そこへ、ラウトゥールとそっくりの容姿をした女性が飛び込んできた。母親譲りの赤毛も同じなら、父に似た切れ長の瞳もそっくり同じ。唇の横の、笑うと笑窪の出来る辺りにある小さなほくろの位置まで同じだ。
 違うのは、ラウトゥールが、姫としてはかなり質素な出で立ちであるのに比べ、クリスタと呼ばれた女性の格好が実に豪奢であること。
 ただし、この国の様式――結い上げた髪に裾の長いドレス――という姿ではなかった。
 繊細なヴェールに顔を覆い隠し、身体は一枚の大きな布を巻きつけているので、衣服は見えない。足元に金糸の縫い取りのある布製の靴と、ゆったりとしたズボンの裾が見える程度だ。
 明らかに異国の様式。それも、南方の国のドレスである。
「お久し振りねお母様お姉様達!ダーリンに我儘言って里帰りさせてもらって、フィーナに誕生祝いを届けて驚かせようと思ったのに、何なのよ、この騒ぎ!」
 ――遠く砂漠の国へと嫁いだ五の姫、クリスタ・クレスタであった。ちなみにラウトゥールとは双子なので、容姿がそっくりなのは当然のことである。
 彼女は王女らしからぬ――いや、砂漠の国の王に嫁いで王妃になったので、正確には王妃らしからぬ態度で、地団太を踏んだ。おっとりとしたラウトゥールとは正反対で、短気な性質なのである。
「すまん、一から説明するから、落ち着いて聞いてくれないか?クリスタ…」
「落ち着いていられる筈が無いでしょう!」
 どん、と強く足を踏み鳴らして、一頻り気持ちが落ち着いたのか。肩で息をしながら彼女は適当な場所にあった椅子を引いてどすん、と乱暴に座った。淑女らしからぬ態度である。
「久々に里帰りをしてみれば、お父様は倒れて臥せっていらっしゃると言うし、それに何なの?フィーナが幽閉されているってどういうことなのよ!」
「だから、今そのことについて説明を」
 我慢強くリトゥリーが繰り返したところへ、更にクリスタは声を荒げた。とても聞いてはいられない、と言わんばかりに両手を大きく振り回して、

「しかもそのフィーナは、幽閉した塔から脱走したって、城中が大騒ぎになってるじゃない!どうなってんのよ!」

「…フィーナが」
「脱走した?」
 いささか、唖然とした様子のリトゥリー。ラウトゥールがひとつテンポ遅れて「あらあら、大変」と口元を覆った。メイは溜息をつき、
「こうなるんじゃないかと思った…」
 そして王妃は、こんな状況下ではあったが、とうとう笑い出してしまった。
「あ、あの子、ってば、ホントにパパそっくり…!」
「笑ってる場合かッ!!」
 思わず母を一喝するリトゥリーである。
「何てことだ。今直ぐ、城から逃げぬように兵を手配しないと」
「ねぇ、ちょっと、誰か事情説明してよ、あたしは訳が分らないわ」
「ラウにでも聞いて頂戴、もうママは、パパのお傍に居ることにするわ。」
 母は五番目の娘にウィンクをひとつ寄越す。目尻に皺が目立つが、笑い皺はかえって彼女をチャーミングに見せていた。
「フィーナは大丈夫。きっと、何か思いついたのよ。…一度決めたら絶対にやり通す。あの子はパパにそっくりよ。だから大丈夫」
「だからって、かあさま。放っておくわけにはいかないでしょう!」
 頭痛がするように頭を抑え、リトゥリーは部屋を飛び出していった。続いて、「話を聞かせて」とラウトゥールを引き摺りながら、メイも部屋を後にする。最後に王妃が、
「クリスちゃん、鍵をかけておいて頂戴ね?」
「もう、何なのよッ!」
 クリスタを残して、部屋を出て行った。宣言通り、王の傍についているつもりなのだろう。クリスタはしばらく苛々と前髪を乱していたが、
「…あたし、もうダーリンとこ帰ろうかな…」
 がっくりと肩を落して、「執務室」の扉を押した。勿論、王妃に言いつけられたとおり、鍵は閉めておく。折角の里帰りだというのに、一番ないがしろにされている気がする。
「うぅん。よく分んないけど、お父様と可愛い妹の一大事みたいだし、しばらくはこっちに居た方が良さそうね。ダーリンに言伝頼まなくっちゃ」
 だが彼女は、やがて首を横に振って決然と、顔を上げた。自分が砂漠から連れてきた数名の従者が居るから、彼らに伝言を頼もう。家族を大切にする風潮のある砂漠の国の王なのだから、きっとダーリンは理解を示してくれるに違いない。
 彼女はそう結論付け、廊下をずんずん歩き出した。その後姿は、格好こそ異国のものだが、矢張り、姉妹と母にそっくりだった。
 何が出来るか、なんてことは彼女は考えていない。
 とにかく何か出来ることを探さなきゃ。妹の為に、お父様の為に。


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